企画展『パリが愛したリトグラフ』に行って来ました

島根県立美術館で開催中の

パリが愛したリトグラフ
 ムルロ工房と20世紀の巨匠たち
リンク

に行って来た。




リトグラフは水と油の反発作用を利用した版画技法である。
私は中学校の美術の授業で体験したことがある。

展示を見る前に、展示室手前で再生されていた、リトグラフの制作過程を撮影したDVDを鑑賞した。
ここで紹介されていたのは、発明された初期の手法。
表面を平らにした石灰岩に絵を描き、化学変化によって、絵の部分にだけインクが付くようになり、紙を押し付けて絵を印刷する。
1798年に、ドイツの劇作家のアロイス・ゼネフェルダーが発明したそうだが、これも失敗が元になったそうである。

展示室に入ると、まず、19世紀の作品が展示されていた。
ドラクロア、マネなどの作品20数点。
かなり大きな作品もあり、これを作成するために使った石灰岩も大きい物だったろうと思う。

印刷機も展示されており、刷師の仕事には体力が必要だということが想像された。

続いて、ムルロ工房で印刷された作品群のゾーンへ。

ここには、ピカソマティスジャン・コクトーなどなど、巨匠の作品がずらりと並んでいた。
特筆すべきは、シャガールのコレクション。
ロンゴス『ダフニスとクロエ』の42点。(企画展のサイトに作品が2点掲載されている。(リンク))
出エジプト記』の24点。
『サーカス』の38点。
など。これらは、高知県立美術館から貸し出されたものであった。
区切られた展示室のうちの2つを使って、これらの作品が展示されていた。
シャガールの独特の絵に、最初はちょっと不自然さを感じていたが、これだけの作品を見ていると、作品内の人物などが生き生きしているように見えてきた。
シャガールの絵は、20色以上の色が使われているそうだ。
これだけの色の作品を版画で作ろうとするのは並大抵のことではない。
それだけの作品に対応できる、シャルル・ソルリエという刷師がいたからこそのこれらの作品だそうである。
配布されていた鑑賞ガイドの小冊子に書かれていたが、シャガールがムルロ工房に来てリトグラフを本格的に始めたのは63歳!!のときだそうだ。そして、『ダフニスとクロエ』が完成したのが74歳のとき、『サーカス』は80歳だそうだ。このパワーは驚異である。


今回展示されている作品のリストは、サイトからダウンロードできるようになっていた。PDFファイルでサイズは3.46MB(リンク

この企画展は10日(木)まで。
6日(日)には、学芸員さんによるギャラリートークもあるそうだ。